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コラム

日本独特のカルチャーは見逃せない。これが足かせになり、たまに例外的にビジネスセンスがある研究者が現れても、やっかみから「あの教授は大学で給料をもらいながら、サイドビジネスで金儲けをしている」などと足の引っ張り合いが起こってしまうのだ。
考えてみると、日本には若いソフトウェア・エンジニアが「金になる研究」をする場が存在しないに等しい。大学院の博士課程や企業の研究所に進んだ人には「あの人は金儲けとは縁のない純粋な研究者」とのレッテルが貼られてしまうし、企業の開発部門に進めば日々の開発に追われるばかりである。かと言ってベンチャー企業を自分で起こしても、投資家からの資金などは簡単に集まらず、日銭稼ぎの受託開発のスパイラルに突入してしまい、まったく新しいものをゼロから作り出す時間などなかなか作れない。
こんな状況では、スタンフォードや MITのような起業家を育成してくれる教育機関を持ち、ベンチャー・キャビタルへの投資資金が潤沢にあるアメリカに差をつけられて当然である。
この状況を見て「日本の将来は危うい」とネガティブに考えていても仕方がないので、こんな状況を打破するためには何をすべきか何ができるかを、これからしばらく私なりに考えて行きたいと思う。思い切って、大学でもnon-profit な研究所でもない、はっきりと利益を追求することをうたったfor-profit な開発研究所のようなものを作ってそこにメチャクチャ優秀なエンジニアを集めてしまうとか、そこから生まれたベンチャー企業に投資するベンチャー・ファンドを集めるとか妄想は膨らむ。