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コラム

●いびつになりやすいリスク評価
不正確さがある上でも「できる」と断言する重要性をお伝えしてきましたが、そもそも人はリスクを優先して回避する。そして回避する性質があるため、この場合は、30%にまで落ち、後者を選ぶ人が70%にまで上りました。
最初の実験からは、得られる金が少なくても良いからより堅実性の高いほうを選ぼうとする、2番目の実験からは、損失の可能性がより低いほうを選んでリスクを回避しようとする意思が見てとれます。つまり、同じ額でも自分の「利益」と「損失」では「損失」のほうがより強く印象に残り、それを回避しようとする行動をとる傾向があるのです。これを損失回避性と言いますが、このような特性がある以上、人は何も意識しないとリスクを回避する方向に向かうことがわかります。
類似の実験を複数回通して得られた「価値関数」、つまり人の利潤・損失へのバイアスは以下のようになり、次のような特性を読み解くことができます。

意識してリスクを取りに行かないと、なかなかできるようになる
プロスペクト理論における価値関数
一例を挙げてみましょう。リスクに対する行動の研究で有名なものに行動経済学における「プロスペクト理論」というものがあります。証拠のため、アメリカの学生を対象に、ある実験が行われました。
以下の2パターンのくじが選べる場合、あなたはどちらを選びますか?
・もれなく100ドルが当たるくじ
・50%の確率で200ドルが当たるが、残り50%の確率で何ももらえないくじ
論理的にはどちらも期待値は同じなので、選ばれる割合は同程度になるはずです。この実験によれば、約60%の被験者が「もれなく100ドルが、もらえる」くじを選びました。
では、次の場合はどうでしょうか?
・もれなく100ドルを罰金として取られるくじ
・50%の確率で200ドルを罰金として取られるが、50%の確率で免除されるくじ
の実験と同様、どちらのくじも期待値は同じなので、同程度になるはずです。しかし、この実験結果では、前者を選ぶものが多かった。