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コラム

仕様が決まらないため、スケジュールがぎりぎりになって開発負荷がかかるようなシーンでも、仕様変更にかかるコストやスケジュールを検討するだけの作業にとらわれることなく、クライアントの問題を整理し、ビジネスと技術の両面のメリット・デメリットを踏まえた実現方式を検討するのが大切です。
また、問題解決を意識し、経営・事業課題に目を向けるようにすれば、プロジェクト報告において、技術視点のみからの課題や開発スコープ、進捗報告ではなく、経営・事業課題へのインパクトや IT戦略も含めた視点からの報告ができるようになり、役員報告に用いる資料の原案となるような資料を作成することも可能になります。
プロジェクト管理という職務を行う上では、表面的な進捗報告に留まっていてはいけません。エンジニアとしての技術視点で課題を正しく認識し、マネジメントレベルでの言語に置き換えることで、その課題の優先度や因果関係にま
で言及し、時には重要課題の解決に向けて論点整理、仮説構築、打ち手評価まで支援・促進することにより、プロアクティブな動きが可能になるのです。
時間で結論を出すために検討すべきことは何か、誰にどのように結論を出してもらうか、といったことを考えざるをえないようになります。また、打ち合わせ時には、各議題に対して結論とアクションアイテムを明確化するところまで実施する意識を持つだけで、「最終的に結論は○○でよろしいでしょうか」「検討材料となっている○○はどなたが持ち帰り、いつまでに検討しますか」といった発言がしたくなるはずです。技術観点からエキスパートとしての知見を話すことのみではなく、目的志向を持って取り組むだけでも、ビジネスリーダーとしての大きな一歩を踏み出したことになります。
ビジネスリーダーとしての意識を持つと、エンジニアとして接してきた時には気づかなかなったクライアントやユーザの悩み・課題が見えてきて、新規事業や業務変革などの種が山積していることがわかってきます。
常駐でプロジェクトに参画している場合などは特に、山積したクライアントやユーザーの課題や悩みに気づくきっかけが多数あります。プロジェクト内外問わずに課題をまとめ、課題の因果関係と優先度を設定してみてください。その上で、課題に関する論点と議論するための材料を集めて、話し合っていきましょう。その後、議論結果からクライアントやユーザ分を含むアクションアイテムへ落とし込みを行い、行動を前へと進めていきます。
こういった動きを続けていくことで、クライアントやユーザから、別テーマでの提案機会の創出や、関連部署からの課題や悩み相談等の案件引き合いも増えてきます。エンジニアからビジネスリーダーをめざすことにより、現場課題の解決を担うマネジメント人材になることができるのです。
そういった課題の抽出作業は、大きな問題解決能力養成のためのトレーニングとなります。 特定から仮説、プロジェクトアプローチ、メンバー体制、自分たちがその仕事をやるべき理由…こうした問いに相手目線で答えるべく、自分から働きかけ、提案していくことは、質の高い問題解決の修業の場となるはずです。