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コラム

おそらくこれは「業界」という違いよりも、｢歴史」の違いと見た方が正しいものだと思います。
上司と部下、その管理体制と評価基準、そうしたものはおそらくかなり未熟な業界です。創業者から何代にもわたり……という歴史を持つわけじゃないですからね、洗練されたものがあるわけじゃないのです。あくまでも他業種において利用されてきた人事制度などをたたき台としながら、まだまだ自分たちの業界に沿う形へと作りかえている過程にあるんだと言えるでしょう。
しかも、新卒としてこの世界に入り、そして定年退職、今はこんな生活です……なんて人います? メーカー系ではなく、純ソフトウェアさんでですよ?ようするにそんな世界なんですよ。三十五歳定年説とか、色んなことを言われてますけども、そもそもじゃあどんな風に育って、どんな風に引退していくものなのか、そうしたサンプルの積み重ねが非常に少ない業界でもあるのです。
しかしこの積み重ねのなさが、私にとっては長所でもありました。
歴史の長い会社さんというのには、古くからの因習ってものがあります。その因習にしたがって「上司はいかにして部下を服従させるものか」なんて姿勢の会社さん、少なくないんですよこれが。
たとえばとある金融機関だと、各ポストへの出世に対して年齢制限が設けられていたりします。三十五歳までに課長となれなきゃアンタは一生ヒラのままだから、なんて制限があるわけですよ。そして、その昇進に対する決定権はどこに与えられているか、それは直属の上司が本部へ推挙するか否かにかかっているわけです。
かくしてこの会社さんでは、｢上司へ一回ミスするとそいつの人生はそこで終わり」などという風潮が出来上がります。ちなみに敗者復活戦はありません。
まあそうなったとしてですよ、飼い殺しという未来がイヤなら、そこから飛び出せばいいじゃないかと思うんですけど、もともと安定を得るために入ったところだけに、わざわざそこから飛び出そうという考えは芽生え難いもんなんですね。
とある大手電機メーカーさんなんか、社長による恐怖政治が身についちゃってるもんだから、何はさておき社長!という風潮が隠せません。社長が屋上のヘリポートへ到着したぞと報せが入れば、みなさんお客さんなんかほったらかしで、そりゃ大変だ出迎えなきゃと右往左往。
こうしたことを聞いていると、｢会社に飼われている」なんて表現はあながち間違いじゃないなぁと思ったりもするわけです。